値上げが止まらないこの冬、暖房費に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。お金の「得する情報」「活用できる情報」を発信するファイナンシャルプランナー長尾義弘さんが、ちょっとした工夫で電気代を抑える方法を教えます。電気代を節約しながら、暖かい冬を過ごす知恵が満載です。
お金の知識をしっかり身につけることは、自分を守ることにつながります。
世の中には、知らないばかりに損をしてしまうことがいっぱいあります。知れば必ず得をする情報を、テーマ別に解説いたします。
■快適さはそのまま 電気代を節約するかんたんなコツ
寒さ本番、そろそろみなさんの家でも暖房が活躍し始めているかと思います。
悩ましいのが、電気代の値上げですよね。2021年の9月から電力の価格高騰は続いていて、残念ながら今後も上昇傾向になる見込みです。 節電には、本気で取り組みたいところです。
いろんなものが値上がりするなか、少しでも節約したい。でも電気代に関しては、寒いのをただ我慢したくはない。
今までどおりの暖房の使い方でも節約が可能になる、かんたんな方法がいくつもあります。組み合わせるとさらに効果的。冬を暖かく過ごしながら、賢く節約できるコツをお教えいたします。
電気代を請求書支払いにしていませんか。この支払い方法を替えるだけで、ちょっとした節約になります。
銀行の口座から引き落としにすると、「口座振替割引」が受けられます。
電力会社によって料金体系は違うものの、たとえば東京電力なら1か月あたり50円(税抜)が割り引かれます。
わずかな金額だと思うかもしれませんが、いったん変更してしまえば、あとは放っておいてもずっと割引が続くのです。ストレスフリーな節約方法だといえます。
口座振替に変更する手続きはかんたんです。お使いの電力会社のHPで、ネットで支払方法を変更することができます。
ネットでの変更に対応していない、または郵送での変更を希望する場合も、HPで変更用の用紙をプリントアウトすることができます。金融機関の窓口で手続きを受け付けている場合もあります。
お使いの電力会社のHPをチェックしてみて下さい。
クレジットカード払いにして、利用ポイントをためるという方法もあります。ただし、電気料金によっては口座振替の方が有利なこともあるので、要チェックです。
単身や少人数世帯であまり電気代がかからない場合、たとえば8,000円の電気代をクレジットカード払いしてポイント還元率0.5%なら、40円。東京電力の口座振替割引は50円+税なので、55円割引です。
もう少し家族が多い場合も、あまり電気代がかからない季節は口座振替の方が得するケースがあると思います。この機会に、ご家庭の電気料金をチェックし、有利な方法を選んでみて下さい。
口座振替のメリットは…
- 利用料金に関わらず、割引が受けられる
- 口座振替に変更するだけで、ずっと割引
- 払い忘れがない安心感+割引の恩恵
例にあげている東京電力では、月末や給料日など、口座振替の引き落としの日を指定できます。払い忘れを防ぎ、たとえ節電して利用料金を下げても、必ず割引がある口座振替。かなり便利な支払い方法といえるでしょう。
電化製品はプラグをコンセントに差しているだけで、電力を消費します。いわゆる待機電力です。
じつは、家庭で使われる電力のうち、1%は待機電力が占めているともいわれます。使い終わったら、プラグを抜きましょう。
ひんぱんに使う家電のプラグをいちいち抜くのは面倒という人には、節電タップがお勧めです。スイッチひとつでオン・オフができます。ただ、待機電力が少ない製品は、節電タップの電気代が上回ることもあるのでご注意を。
待機電力に無頓着なのは、実にもったいないことです。仮に年間12万円の電気代を支払っているとして、1%が待機電力なら、1,200円。少しでも減らした方が良さそうですよね。
よく使う家電のプラグを抜き差しするのが大変なら、節電タップの利用を。オン・オフのスイッチがついている電源タップです。これなら待機電力カットもかんたん。
それも面倒だという方は、めったに使わないのにコンセントに差しっぱなしになっているものはないか、チェックするだけでも違います。季節はずれの家電や、月に1度も使わない家電たち、なんとなくプラグを差したままになっていませんか?
待機電力を気にかけることで、もうひとつ良い効果が期待できます。節電に対する意識が生まれるのです。つけっぱなしの電気なども、こまめにオフするようにライフスタイルが変わってくるはずです。
- 待機電力に気をつけるだけで、節電意識も高まる
- 節約だけでなく、節電にもなって環境に優しい
- 節電タップを使えば、オン・オフもかんたん
無駄な電力使用を減らすことは、地球にも優しいことです。加えて節約にもつながるなら、嬉しいことばかりですよね。
エアコンのフィルターは、どのくらいの頻度で掃除していますか。シーズンの初めや終わりだけでは、回数がたりません。
フィルターが汚れていたり目詰まりしていると、空気がスムーズに循環せず、冷暖房の効率が落ちてしまいます。
毎日、使っている時期なら、少なくとも2週間に1度は、フィルター掃除をしましょう。掃除をすることで省エネにつながり、電気代も年間でおよそ850円の差が出ます。
季節が変わってエアコンを使い始めるときには、ほとんどの方がフィルターを掃除されると思います。ただし、それだけで安心するのは禁物。
エアコンを使えば使うほど、フィルターは汚れてきます。そうすると、空気のとおりが悪くなり、エアコンの効率はどんどん落ちていきます。その分、同じ温度設定でも余分に電気代がかかることになります。
毎日使う時期は、最低2週間に1度は掃除するのが目安です。エアコンがよく効くと、電気代が控えめになるだけでなく、すぐに部屋を適温にできるので気持ちいいですよね。
また、汚れたフィルターのままで使うと、部屋の空気がほこりっぽくなってしまいます。もっと怖いのは、エアコンの内部の汚れが加速すること。
フィルターをとおすことで、エアコンの中はだいぶ守られていますが、それでも少しずつ汚れていきます。フィルターが汚いと、内部でカビなどが発生する確率があがってしまうのです。そうすると健康面でも心配が出てきます。
ぜひ、健康のため、節電のため、こまめなフィルター掃除を心がけて下さい。
- エアコンの機能を最大限に引き出せるので、効率がいい
- フィルター掃除で部屋の空気もきれいに
- エアコン内部が汚れるのを防いでくれる
エアコンの中まで汚れてしまうと、専門の業者に掃除を頼まないと解決が難しくなってしまいます。また、買い替え時期が早まることも。
電気代だけでなく、いろんな効果が期待できるフィルター掃除。ぜひお忘れなく。
エアコンの設定温度や使用時間には気をつけている人でも、見落としがちなポイントがあります。それは室外機です。
吹き出し口の前に、荷物を置いていたりしませんか。
こんなふうに吹き出し口がふさがれていると、冷暖房の効率が下がり、よぶんな電力を消費してしまいます。
室外機の周囲はすっきりと片づけて、何も置かないようにしましょう。また、室外機は日陰に設置するのがベターです。
ベランダや屋外にものを置いている方は、ぜひその場所をチェックしてみて下さい。室外機の吹き出し口の前に、ものを置くのは厳禁です。
室外機はふだん見ない屋外にあるので、ついつい見逃しがち。でも、室外機あってこそのエアコンの効果です。
もし、吹き出し口がふさがれているようでしたら、ただちにものをどかしましょう。それだけで節電効果がおおいにあります。
また、吹き出し口の前でなくても、室外機周辺にあまりものを置くのはおすすめしません。悪天候のときなどに風にあおられたものが、吹き出し口にかからないとも限らないからです。外なので、すぐに気がつかないこともあります。
- 外にあるので見逃しがち、すぐにチェックを
- 物をどかすだけで効果が出る、かんたんな見直しポイント
- 新しく設置するときは、室外機の場所にも気を配って
室外機の置き場所はだいたい決まっているものですが、新しく家を建てる方などは、ぜひ日陰で、まわりにものを置かずにすむ場所を設定して下さい。安心して効率よくエアコンを使うことができますよ。
ファンヒーターもエアコンと同じように、設定温度は20度が目安です。しかし、同じ温度でも、置く場所によって部屋の暖まり具合が変わってきます。窓の近くは冷気やすきま風が入り込むため、室温が低くなります。
窓から離れた場所にファンヒーターを置くと、せっかく暖まった空気が循環していくうちに、ここで冷やされてしまいます。
ファンヒーターは窓を背にして置くのが正解です。窓際の冷たい空気がまず暖められ、暖房効率がよくなります。
ファンヒーターの置き場所を変えるだけで、部屋が暖かくなるコツです。
窓際は、どう工夫しても冷たい空気がいくらかは入ってくるもの。ファンヒーターから出る暖かい空気が、窓際の冷気で冷やされてしまうことのないようにしましょう。
部屋の窓に背をむけるように、窓際に設置して下さい。暖房効率もあがりますし、窓際のひやっとした空気も効果的に暖めてくれます。
暖房器具は、その性質によって置き場所を考えるのが理想です。
例えば、放射式に部屋を暖める円筒型ストーブなどは、部屋の真ん中に置くことで効果を発揮します。また、小さめのパネルヒーターなどは、冷えがちな足元に設置すると良いでしょう。
- 暖房器具によって、理想の設置場所が違う
- 窓際の冷気に注目して、ファンヒーターは窓を背に
- ファンヒーターの置き場所を変えるだけで、暖房効率UP
家電は、それぞれの作りと性質を考えて、効果的な置き場所・使い方で、節電につながります。暖房器具以外も意識してみて下さい。
■すぐに役立つ知識がいっぱい『お金の得する情報400』
毎日使う電気代だからこそ、少しの工夫と意識で変わってきます。
今回あげた方法は、基本的に暖房を我慢するのではなく、使い方で電気代を節約するのがポイント。部屋を暖かく保ちながら、電気代を抑えることができるので、取り組みやすいと思います。
電気料金の値上げは痛いですが、省エネはSDGsにもつながる大切な考え。値上げに対抗する知恵が、そのままSDGs7番目の目標「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にあげられている「エネルギー効率の改善」になりますよね。
快適に暖房を使いながら、環境にも貢献できて、電気代を抑える暮らしの知恵、どうぞ試してみて下さい。
ご紹介した電気代を抑えながら暖かい冬を過ごす方法は、今すぐ役立つ耳よりな話が満載の『お金の得する情報400』からの抜粋です。
こちらの本には
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日常の生活ですぐに応用できる知恵ばかり。ぜひ、取り入れてみて下さい。