家計管理のコツは?固定費・特別費など家計簿をつけるポイントをご紹介

毎日繰り返されるお金を使う機会。節約しようと誓って、1円でも安い食材を買おうとしても何日も続かず、結局家計には思うようにお金が貯まっていないということも多いものです。

ただ、日々の家計管理はとても大切です。家計管理の継続はその先のライフプランのリスク部分を軽減することに繋がります。
家計管理のコツと、効果を出すためのポイントを紹介します。

家計簿をチェックしてみよう

家計管理を一歩進める最初のポイントは、支出の徹底した分析です。

毎月の支出のうち金額の変動がない(少ない)項目は何か、一方で変動幅の高い項目は何かをまず区分します。この二項目は改善の方法が異なります。

固定費を確認する

まず前者の変動幅の少ない項目。支出額が固定されていることから「固定費」と呼ばれます。

代表格は住居費です。長期間旅行に行って自宅の滞在期間が少ない月も、最近のコロナ禍で巣ごもりをしている時期も変わらない金額を支払います。
賃貸物件への支払家賃の印象が強いですが、住宅購入の結果支払うローン返済額も含まれます。

そのほかは生命保険の保険料や生活用品などの必須の買い物です。スマートフォンの利用料は月により金額が上下しますが、毎月固定されている部分は固定費として区分します。

変動費を見直す

各項目のうち、固定費に含まれないものはすべて変動費です。
食費や交際費、趣味娯楽費などが該当します。
食べなければ生きていくことができませんが、決意すれば月あたり数万円単位で減らすことも可能です。
服は買わないが交際費は多い家庭や、お酒はまったく飲まない家庭など、家計によって傾向が大きく異なることの多い支出でもあります。
家計改善においては各項目を一律して減らすのはもちろんですが、「毎月飲みに行っている意識はそれほど無いのに、記録してみると思いのほか交際費がかかっている」など、想定外の項目の支出をどこまで減らせるかがポイントになります。

これまでの収支を振り返って翌月の予算を決める

家計管理は月の初めと最終日が大切です。
まず月の初めに「前月の収支の振り返り」を行います。前月の始めに「今月はこれくらいの支出が出そうか」を想定しておき、その差異を算出します。
固定費はさほど差異が出ないことが多く、問題は変動費です。食費や交際費は多く必要となる月と閑散月があります。
そのため前年度の同月と比べるのが理想ですが、そこまで家計簿履歴がない場合は今まで取り組んだ月の「平均値」を算出しておき、その平均値との差異を調べることで分析を進めましょう。

お金と銀行通帳

予算管理で家計を制す

予算管理はどうしても想定と比較して支出が少なかったから良かった、多かったから気をつけようで終わってしまいます。

ただ、その先の分析が重要です。次のステップとして、なぜ多くなったのか、少なくなったのかを因分析まで深めるようにしましょう。
それを家族のうち誰か一人が把握するのではなく、家族で共有することが大切です。

先取り貯金で確実にお金を貯める

家計管理を1-2ヶ月進め、予算との差異を顕在化できるようになると、次の段階として「先取り貯金」をお勧めします。
本来、月次の生活費は「収入(給料)-支出=貯金額」です。これをあらかじめ、いくら貯金できそうかを算出し「収入-先取り貯金-支出=余剰金」とします。

この時に大切なのは、先取り貯金を自律心に任せるのではなく、触れないようにしておくこと。
給料から毎月天引きされる社会保障費のように別口座に移し、簡単には引き出せないようにします。

月初めや給料日直後の「意識の高い時」「お金がある時」ではなく、お金の余裕が無いときに残金に合わせた生活(変動費の抑制による対応)にすることが家計を上手にまわす勘所です。

予期せぬ出費も焦らない!特別費を積み立てておく

とはいえ、事前にわからない出費があるのも家計の特徴です。そこで流動的に使える「特別費」を積み立てておくようにしましょう。
支出として想定しておきながらも、展開によって大きなお金になりそうなイベント費や、いざという時のための生活防衛費などです。

これらの特別費は毎月精算する(余ったら預貯金に組み入れる)のが理想ですが、余った分を翌月に繰り越すことで「今月はいくら節約できた」という達成感を引き出し、モチベーション創出に繋がります。

目的は毎月先取りする貯金に手を付けないことなので、数ヶ月頑張って余った特別費で少し良いお酒を買ったり、狙っていた服を買ったり、家族で少し遠出をするなどの「ご褒美」も効果的です。

「また来月も家計管理頑張ろう!」という気持ちを維持するために有効活用していきましょう。

わかりやすい家計管理のコツ

ここからはより具体的に、家計管理を進める方法についてお話します。
毎月の収入と支出のやり繰りから家計管理と、貯金を生み出す計算式は理解したけれど、日常生活のなかでどうやって進めていくのか。
それは身のまわりのツールを上手に活用することで達成できます。

銀行口座を使い分けて収支・資産を整理

代表的な方法のひとつが「銀行口座を使い分けること」。自分・家族名義の銀行口座を2、3口座持っている方も多いと思うので、それぞれに以下のように用途を持たせます。

①入金・引落用給料の入金や天引きの引落
②月次支出用①から毎月の支出を移動し、その枠内でやり取りする
③預貯金用先取貯金の保管、毎月の余剰金の管理用
④特別費特別費の保管管理

複数の銀行口座で家計管理をするコツとしては、「日常生活との距離」でそれぞれの口座に相応しい金融機関を活用することです。

まず①や②は自宅や職場に近い、頻繁の引落に対応できる金融機関にしましょう。実店舗のないネットバンキングを活用するのもひとつの手段です。

ネットバンクは実店舗がない代わりに、取引状況によっては提携のコンビニATM等での手数料が無料になる場合や、振込手数料も無料・もしくは低価格に抑えられていることもあります。
どちらも回数制限がある場合が多いですが、近くに金融機関の支店などがない場合には候補の一つに入れておくのもいいでしょう。

また、②に関しては最近スマートフォンの○○Pay(QRコード決済など)を使えるお店も増えてきていますので、「1カ月分の食費」と銘打って予定額を○○Pay(QRコード決済など)に移動してしまい、あとは財布を持ち歩かないのも賢い方法です。

反対に③や④は頻繁に引落する必要がないため、物理的に遠く、日ごろ使わない口座を活用しましょう。
③は随時残高を確認しモチベーションにしたいので、パソコンやスマホひとつで残高が確認できるネットバンキングもお勧めです。
④は基本的に引きだす頻度も低いので、休眠口座を利用するのもいいでしょう

スマホアプリを活用して家計を管理

5年ほど前から「スマートフォンの家計簿アプリを使って家計管理をする」人が急増しました。
家計簿アプリの機能も続々と便利になり、銀行口座、クレジットカードとの連携や収支をグラフで可視化する機能、レシートの読み取り機能が実装されています。
以前の紙媒体の家計簿管理と比較して、この「デジタル化」が家計簿アプリによって最も進歩した部分といえるでしょう。

家計管理にとって最大の敵は「飽きてしまう」ことです。
前月からどれだけ節約できたか(増えてしまったか)を管理するためには、少なくとも1カ月以上取り組まなくてはならず、加えて季節性(交際費のかかる時期とかからない時期の調整)を考えると1年以上継続しなければなりません。

そのためには分かりやすいデザインや見栄えの良さ、ちょっとアクセスしてみようという動機付けがないと難しいもの。
家計簿アプリを提供する各事業会社は、その部分を強く意識していますので、スマホ一つで誰でも簡単に始めやすく・続けやすいのが特徴です。

夫婦間で情報共有して家計を管理

家計簿といえば、母親が黙々と作成していたイメージを持つ人も多いでしょう。時代が変わり、家計管理のかたちも大きく変遷しました。共働きが増えたことで財布が別々という家庭も多いでしょう。

財布が別々の場合、互いの収支の把握が必須。
自分がアプリを活用してせっせと家計管理をしていたのに、相手がずさんで無駄な支出を繰り返していたのでは、不信感にも繋がっていきます。
家賃は自分、生活費は相手というように支出の区分けをしている場合は、定期的に費用負担バランスの見直しや認識合わせが必要です。

また長年一緒に生活していると様々な出来事が起こるものです。ライフイベントによる収支状況への対応も進めていかなくてはなりません。

最近の家計管理アプリは「共働きの夫婦で一緒に入力・作成できるもの」が提供され、注目されています。そのようなツールを上手に活用しながら、情報共有体制を整備していきましょう。

ライフプランを整理して貯金の目的を再確認

家計管理が継続できてくると、次のステップが「ライフプランの整理」です。
漠然と意識している次のライフプランまでどのくらいの時間があるのか、いくらくらいの支出が見込まれるのかを把握していきます。特に20代、30代の子育て家庭はこの整理が大切です。

子どもが小さいうちは、教育資金の支出にはそれほど負担感を感じません。子どもが大きくなってくると、「逆L字型」で教育費が上がっていきます。

難しいのは、教育費が増加する時期に住宅ローンの返済や家族が大きくなってくることによる食費や交際費の増加など、他の支出も比例して増加すること。
20代から家計管理に取り組む際は10年後、20年後を見て進めていくようにしましょう。

適切に家計管理し、家計の改善につなげていこう

家計管理についてお伝えしましたが、適切に家計管理をすることで、収支状況の現状を把握し、常に改善のアクションを取ることできます。

ファイナンシャルプランナーが得意とする格言ですが、人生は上り坂と下り坂と「まさか」があります。
そのうちマイナス傾向のまさかには生命保険で対応しますが、そこまでではない下り坂に対応するのは家計改善です。
日頃の積み重ねで下り坂の角度を抑え、「まさか」に発展するのを防いでいくことが大切なのです。

家計管理アプリを上手に活用しながら、時にご褒美を用意しつつ、楽しく家計管理を続けていきましょう。

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この記事の著者

【マネシル認定コンサルタント】 工藤 崇 ファイナンシャルプランナー。1982年生まれ、2015年FPとして独立、北海道出身。数多くの執筆・セミナー講師経験を有する独立ファイナンシャルプランナー。年金・不動産・キャリアプランのほか、特に相続に関して造詣が深く、早期に相続の準備を取り組むことで、争族とよばれる相続トラブルを解決し、ライフプランにおけるリスクを解決するためのインターネットを活用したサービスを開発・提供している。
http://letteplabiz.com

この記事を執筆いただいた工藤 崇さんとは、お金のプロ、ファイナンシャルプランナーにオンライン相談できるサービス「マネシル」でオンライン相談が可能です。

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