こんにちは、おカネレコ代表のえじりです。
少し前から、東京都内にありながら山の中にある秘境のような場所で、二拠点生活を始めました。
不思議なもので、山の家にいると、面白い方たちに次々と出会えます。
前回は、里で出会ったコーヒー屋さんのことを書きました。今回は、私がお世話になっている大家さんのことを書かせてください。
この大家さんが、本当に素敵な方なのです。

ひとりで大きな家と畑を守る、70代の大家さん
大家さんは、70代のおばあちゃんです。
大きな家と広い畑を持っていて、そこにたったひとりで暮らしています。
山の中の暮らしですから、やることは尽きません。それでも、いつもどこか楽しそうで、お会いするたびにこちらまで元気をもらえるような方なのです。
畑に1.5メートルの穴 — 小さな鎌で竹の根と向き合う
ある日、いつものようにお伺いすると、畑に大きな穴が掘られていました。
のぞき込むと、深さは1.5メートルほど。
驚いて声をかけると、こう教えてくれました。
「畑に、竹の根っこが伸びてきてね。それを切るために、穴を掘っているの」
よく見ると、手に持っているのは小さな鎌ひとつ。重機でもスコップでもなく、その小さな鎌だけで、コツコツと固い土と根を掘り進めているのです。
「大変ですね」
思わずそう言うと、大家さんはニコニコしながら、こう返してくれました。

「これ持っていると、無心で楽しくてね」
「これ持っていると、無心になれて、楽しくてね」
「昨日も、あっという間に疲れて、すぐ寝ちゃった」
そう言って、心から楽しそうに笑うのです。
「毎日忙しいの。でも、忙しいから楽しいのよ」
幸せそうに、ニコニコしながらそう話す姿が、とても印象に残りました。
話は、昔のことにも及びました。
「今は舗装された道路があるけれど、昔はこんな道なかったのよ。峠道を、馬で荷物を運んでいたの」
「子どもの頃はね、山道を登っていくと峠に出られて、そこから隣の集落まで遊びに行ったものよ」
子どもの頃から、楽しそうに山を登っていたのだろうな。そんな光景が目に浮かんで、思わず微笑んでしまいました。
良い人生って、なんだろう
山の中での暮らしは、傍から見れば「大変だな」と思うことばかりです。
それでも、いつもやることがあって、「忙しいのよ」とニコニコしている大家さん。
その姿を見ていると、良い人生ってなんだろうと、考えさせられます。
私たちはつい、人生では何か大きなことを成し遂げないといけない、と思いがちです。少なくとも私自身は、ずっとそう思って生きてきました。
でも、日々のやることを楽しみながら生きていく。それもまた、すごく大切なことなのだな、と思うようになりました。
人生100年時代と言われます。長い時間を、ただ走り続けるのではなく、楽しみながら生きていく。その視点が、これからはとても大事になる気がしています。
ひとりでも楽しく生きられるということ
そして最近、もうひとつ思うことがあります。
それは、ひとりでも楽しく生きられることが、とても大切だということです。
人はどうしても、まわりの状態に影響を受けます。「あの人がこうしてくれない」「誰も来てくれない」と、まわりの状況によって気持ちが揺れてしまう。
けれど、ひとりで楽しく生きられたなら、まわりがどうであっても、楽しく生きていけます。
そして、ひとりで満たされている人は、まわりにも良い影響を、楽しい空気を、自然と分けてあげられるようになる。
あの大家さんが、まさにそうでした。小さな鎌ひとつで穴を掘りながら、誰に頼るでもなく、ただ毎日を楽しんでいる。その姿は、お会いするこちらまで温かい気持ちにしてくれます。
私もそんなふうに生きられたらいいな。山のおばあちゃんの笑顔を思い出しながら、そう思うのです。

プロフィール
江尻 尚平(えじり しょうへい)
スマートアイデア株式会社 代表取締役/ファイナンシャルプランナー
上智大学理工学部卒業。大手外資系携帯電話メーカーにてサービス企画などに従事したのち、慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて経営学修士(MBA)を取得。2012年にスマートアイデア株式会社を創業、代表取締役に就任。
現在、500万ダウンロードを達成した家計簿アプリ「おカネレコ」、家族向け家計簿「おカネレコプラス」、FPオンライン相談サービス「マネシル」など、Fintech分野に注力した事業を展開している。2015年にはベトナム・ハノイにスマートアイデア・スタジオを設立し、国際的な事業構築も実践。
ファイナンシャルプランナーとして、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などに出演し、家計に関わるコメントを行う。著書に『お金が貯まる!世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』(徳間書店)がある。



