こんにちは、おカネレコ代表ファイナンシャルプランナーのえじりです。
少し前から、東京都内にありながら山の中にある秘境のような場所で、二拠点生活を始めました。
この山の家、本当に山の奥にある秘境で、なんと携帯電話の電波が入りません。
今回は、そんな山の家に「インターネットがつながった日」のお話を書かせてください。
たかがインターネット。されどインターネット。つながるまでの道のりは、想像以上に長いものでした。

携帯の電波も入らない、日本三大秘境を超える山の家
山の家は、本当に山の奥にあります。
どれくらい奥かというと、携帯電話の電波がまったく入りません。いわゆる「圏外」です。
日本三大秘境のひとつ、宮崎県の椎葉村。あれほどの秘境でも、携帯電話の電波は入るそうです。
ということは——私の山の家は、日本三大秘境すら超えている、ということになります。
我ながら、すごすぎる環境に拠点を構えたものだと思います。
「いつつながるか、わかりません」— NTTに申し込んだものの
さすがに圏外のままでは暮らせないので、さっそくNTTにインターネットを申し込みました。
ところが、返ってきた答えはこうでした。
「開通までに、1ヶ月以上はかかります」
「正直、いつつながるかは、なんとも言えません」
1ヶ月以上。しかも、いつつながるか分からない。
都会の感覚では考えられない返事に、少し不安になりながら、その日を待つことになりました。

ネットがつながらないと、人は「連絡の取れない人」になる
待っている間に、あらためて気づいたことがあります。
私たちは今、スマホを通して、ものすごくたくさんの情報に触れているということです。
何か知りたいことがあれば、すぐにスマホで検索する。もはや意識すらせず、当たり前にやっています。
でも、インターネットにつながっていないと、その情報すら手に入りません。LINEなどのSNSも、もちろんつながりません。
つまり——自分が「連絡の取れない人」になってしまうのです。
そして何より困るのは、もしも何かあったとき。緊急の連絡すら、できないということでした。
頼みの綱のStarlinkも、空が狭すぎてダメだった
困り果てた私は、ある方法を思いつきました。
衛星アンテナでインターネットにつなげる「Starlink(スターリンク)」です。
ちょうど知り合いにStarlinkをお持ちの方がいたので、山の家まで来ていただきました。
ところが——。
Starlinkのアプリで空をチェックしてもらったところ、こう言われてしまったのです。
「ここは、空が見える領域が狭すぎますね。これだと、難しいです……」
山に囲まれた秘境ゆえに、肝心の空が狭い。頼みの綱のStarlinkまで、あえなく断念となりました。

1ヶ月半「家が見つからない」、そして工事は30分で終わった
こうなると、もう待つしかありません。
ところが1ヶ月が経っても、NTTからの連絡は意外なものでした。
「まだ、お家が見つかっていません」
家が、見つからない。いくら山の中とはいえ、この現代でそんなことがあるのか……と思いながら、ひたすら待ち続けました。
そして1ヶ月半ほど経ったころ。NTTの方から、Google Mapの画面を見せられて、こう聞かれました。
「この建物が、お宅ですかね?」
「はい、そうです」
そうやって、ようやく我が家が見つかったのです。
そこから工事日を決めて、ついに——工事の方が来てくれました。
あんなに待ち焦がれたインターネット。ところが工事は、たった30分であっけなく終わりました。
1ヶ月半も待ったのに、つながるときは、ものの30分。なんだか拍子抜けしてしまいました。

強制デジタルデトックスの先で気づいた、文明のありがたさ
Wi-Fiルーターも設置しました。
ただ、契約は1Gbps(ギガビット)のはずなのに、最初は10Mbpsしか出ませんでした。あれこれ設定をいじってみて、なんとか100Mbpsくらいまでは出るようになりました。
正直なところ、つながるまでは「強制的にデジタルデトックスされるのも、悪くないな」と思っていました。
でも、いざインターネットという文明がつながってみると——やっぱり、本当にありがたい。
困ったことがあれば、なんでも調べられる。大切な人と、いつでも連絡が取れる。
当たり前だと思っていたことのありがたさを、電波の入らない山の家が、あらためて教えてくれました。

Series
田舎ぐらし・二拠点生活エッセイ
東京都心と山の秘境を往き来しながら、自然の中のシンプルな暮らしと出会いを綴る、FPえじりのエッセイシリーズです。
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プロフィール

江尻 尚平(えじり しょうへい)
スマートアイデア株式会社 代表取締役/ファイナンシャルプランナー
上智大学理工学部卒業。大手外資系携帯電話メーカーにてサービス企画などに従事したのち、慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて経営学修士(MBA)を取得。2012年にスマートアイデア株式会社を創業、代表取締役に就任。
現在、500万ダウンロードを達成した家計簿アプリ「おカネレコ」、家族向け家計簿「おカネレコプラス」、FPオンライン相談サービス「マネシル」など、Fintech分野に注力した事業を展開している。2015年にはベトナム・ハノイにスマートアイデア・スタジオを設立し、国際的な事業構築も実践。
ファイナンシャルプランナーとして、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などに出演し、家計に関わるコメントを行う。著書に『お金が貯まる!世帯年収500万円から始める共働き夫婦の超効率家計簿』(徳間書店)がある。



